• (株)塩見組(福岡県)

    ・事業承継問題を解決するサーチファンドの手法が国内で初めて活用された。

    ・地方銀行が仲介したことで、企業が地場に残り、雇用を守ることができた。

背景と動機

北九州市の(株)塩見組は、昭和30年の創業以来、西日本エリアを中心に大型基礎杭打ち工事等を手掛け、特に海上土木で同社所有の海上作業台船を使い豊富な実績を築いてきた。

しかし、後継者不在のまま事業承継問題に直面。会社の存続を懸念しメインバンクに相談していた。

一方、経営者を志していた渡邊謙次現社長は、サーチファンドを活用して承継候補を探しており、両者が巡り合うことになった。

事業の概要

両者を結びつけた「サーチファンド」は、会社経営に意欲を持つ若手人材が自ら、投資を募るとともに企業を探して株式を買い取る事業承継モデル。中小企業の事業承継問題を解決する手法の一つとして注目されている。

山口銀行、北九州銀行など地銀3行からなる(株)山口フィナンシャルグループ(YMFG)から会社経営に意欲的な人材として選ばれた渡邊氏が、およそ1年をかけてYMFGとともに承継企業を探索。約20社との交渉を経た結果、(株)塩見組に絞り込み、同社の全株を取得して代表取締役に就任した。このスキームでは、YMFG Search Fundの出資者である北九州銀行が(株)塩見組のメインバンクであったこともあり、サーチファンドを活用した事業承継が国内で初めて実現した。

成果と展望

地銀が仲介する事業承継スキームによって、老舗企業が地場に存続し、雇用が守られ、将来の成長への道筋が示された。渡邊新社長は2020年2月の就任直後から在庫圧縮や本社移転による賃料削減に着手。事業拡大に向けて「杭抜き事業」や「放電破砕分野」への進出アプローチを開始した。また、サーチファンドによる国内初の事業承継事例としてメディアに取り上げられ、近隣の建設企業からの相談案件も増えている。

今後は、まず足元の事業を固めてから、シナジー効果が見込める建設会社との連携を深めていきたい考えだ。

 
Before(取り組む前)

・後継者不在のために、事業の継続に不安があった。

・事業の継続は地場の雇用と産業発展のうえでも、メインバンク等から注目されていた。

・無駄なコストの発生など、高いポテンシャルを十分に活かしきれない経営状況にあった。

After(現在)

・建設企業の可能性と将来性に魅力を感じる若手人材が後継者となった。

・老舗企業が地域に存続し、雇用を守ることができた。

・コスト削減を行い、新規事業参入や商圏拡大をすすめて、売上増の可能性が高まった。

 
<苦労・工夫した点>> 私が建設業界未経験者だったことから、事業承継に不安感があり、交渉にはかなりの時間を要しました。しかし、会社経営という観点から見れば、他業種からの人材を受け入れる土壌も必要だと感じています。事業承継に悩んでいる建設企業は多い現状からすると、サーチファンドによる事業承継はより一層注目していただきたいと思います。(渡邊謙次・現社長)

 
<企業プロフィール>
事業者名 (株)塩見組
所在地 福岡県北九州市
資本金 5,500万円
従業員数 44人
URL https://www.shiomigumi.co.jp/