• 入交電設(株)(山口県)

    ・遠隔臨場で現場代理人の負担を大幅に軽減。書類作成や若手の指導にあてる時間を生んだ。

    ・ICT化により三密の回避やゼロ災害など、現場のリスク軽減が実現した。

背景と動機

山口市の入交電設(株)は、県内の公共建築物の照明工事やトンネル・交通信号機等の電気工事から家庭の照明器具の取替え工事まで、官民問わず地域に根差し幅広く事業を展開している。

同社では近年、新卒採用および若手の中途採用を積極的に展開した結果、20歳台の社員が全社員の半数を占めるまでに増加。技術やノウハウを習得させることが急務となった。一方、施工管理資格者の現場代理人8名の高齢化が進み、現場に出向いての対応が次第に負担にもなった。

こうした技術承継の課題に加え、新型コロナウイルス感染防止対策として三密を避ける人員配置の必要に迫られたことから、本支援制度を活用し、ウェアラブルカメラや電子ホワイトボードなどのICTの導入に取り組むこととした。

事業の概要

従来、現場の段階確認や安全パトロールは施工管理資格者らの臨場により実施してきた。本事業では、ウェアラブルカメラを活用した遠隔臨場による段階確認や安全パトロールによって、臨場人員の削減を試みる。まず遠隔臨場の操作に慣れ、定着させることを目的に、保育園の増築工事及び倉庫の新築工事のモデル現場に遠隔臨場を導入し、その利便性等について検証を行った。

具体的には、現場の作業員がヘルメットにウェアラブルカメラを装着し、インターネットを通じて現場の状況を中継。本社にいる現場代理人は、大型電子ホワイトボード越しに現場を確認してサポートをする。これにより現場代理人の移動時間削減や複数現場の同時監理、感染症対策となる現場臨場の少人数化の実現可能性を確認する。

一方、大型電子ホワイトボードは会議などに活用し、資料のペーパーレス化や議事録作成の時間短縮効果を検証する。同時に、電子ホワイトボードのデジタルサイネージ機能を用いて、社内情報や安全衛生情報などを繰返し配信し、情報共有の効率化や事故防止等の効果を検証する。

成果と展望

ウェアラブルカメラを活用した遠隔臨場については、現場の若手作業員が手順に迷った時に有効であることを確認。また現場代理人は臨場の移動時間が無くなり、空いた時間を書類作成や若手の指導に使えるようになった。

その結果、平日の時間外労働の対前年度比は、現場代理人では18.4%減、現場責任者では30.2%減の効果が見られた。その他にも、若手とベテランとのコミュニケーション不足が改善され、現場に関わっていない社員も遠隔臨場に参加し助言できる想定外の効果も生まれている。さらに動画を保存できるので、リアルタイムで立ち会えない場合は後で確認できる仕組みも構築した。

加えて大型電子ホワイトボードのデジタルサイネージ機能を活用して安全衛生情報を配信した結果、ゼロ災害を達成。また、10時と15時に音楽を配信し、換気のアナウンスとすることで、新型コロナウイルス感染対策としても活用した。

 
Before(取り組む前)

・急増した若手社員に対し、技術やノウハウを短期間で習得させる必要があった。

・資格を持つ現場代理人の高齢化が進展し、現場に臨場した対応が次第に困難となった。

・新型コロナウイルス感染対策として、現場の三密を回避する対応が必要となった。

After(現在)

・ウェアラブルカメラを活用した遠隔臨場で、現場代理人の臨場が不要に。三密も回避できた。

・ICT機器の導入が、若手とベテランのコミュニケーション不足の改善につながった。

・ICT機器の導入によって、現場代理人や現場責任者の時間外労働を大幅に削減した。

 
<苦労・工夫した点> 当初は、「現場に行って確認したほうがよい」とICTの活用に消極的な作業員もいました。そこで朝礼や会議などで活用を呼びかけ、現場確認を遠隔臨場で行う際には、利便性を実感してもらうために社内にいるできるだけ多くの社員に立ち会ってもらいました。操作に不慣れな高齢社員には、若手社員が率先してサポートすることで活用を促しています。

 
<企業プロフィール>
事業者名 入交電設(株)
所在地 山口県山口市
資本金 3,000万円
従業員数 29人
URL https://irimajiri-densetsu.co.jp/